新発田ブログ

 

~山の奥、命の音がする場所~

 新発田の山奥にて車を停め、ふと山道の脇に目をやると、一面に広がる田園風景が目に飛び込んできた。

 

深い緑に囲まれた山あいの谷底に、きらきらと光を返す水田。その一枚一枚に、泥に足を取られながらも丁寧に苗を植えていく人の姿がある。

 

そこは静かな場所だった。

けれど、耳を澄ますと、そこには無数の音があった。

虫の声、風の音、水のせせらぎ。

そしてなによりも、人の手が自然に添えるように動く、やさしい労働の音。

それらはただただ、美しかったのである。

無駄なものはなにもない…。

 

 効率を追い求め求められての現代社会をわき目にここには効率では測れない自然と人々の営みが確かにここにはある。

季節に従い、雨に祈り、土とともに生きる人たちの姿に、なぜだか胸が熱くなった。

「豊かさ」とは、何か。

この景色を見ていると、そんな問いが自然と浮かんでくる。


 この感情を胸に抱えながら、そっとタントの元へ戻る。

山道を抜け、この風景に出会えたのは、この小さくも大きな一台のおかげだ。

 

コンパクトなのに頼もしく、視界も広くて、どこか心まで軽くなるような不思議な車。

タントだからこそ荷物を積んで、また別の風景を目指せる。

 

私にとってタントは、ただの移動手段ではなく、忙しい日々と、この心落ち着く時間の間を行き来させてくれるちょうどいい橋のような存在の相棒だと思う。